旬の魚が高知から毎週届きます

Giroを出店するまで、修行させていただいた店々で、私は魚の処理をまかされていました。冬などは冷たいなか、ウロコや内臓を処理しなくてはならないしんどい仕事です。魚が届く時間は季節や配送状況によってまちまちですが、届いたら直ぐにキッチンの一角を占領して仕事をはじめなければならず、もたもたしていると邪魔者扱いされることもある嫌われ仕事ですから、希望すれば先輩職人をさしおいて魚の処理を一任させてもらえるものでした。

どちらの店舗でもそれぞれにこだわりの仕入れ先から鮮魚を納入しておりました。身の状態、処理の仕方、魚種のバリエーション、どれをとっても頭ひとつ抜きんでていたのが高知の野島氏が目利きと処理を行った、須崎漁港より直送される鮮魚でした。自分の店で取引をするなら野島氏から直送してもらいたい、と思うようになりました。

新春に味が乗る桜鯛はポルトガル鍋のカタプラーナに。貝・海老・蟹などと一緒に煮込んだとびっきりの海鮮スープが白眉です。桜鯛・大あさり・子持ち蟹・天然海老。春の恵みを堪能し、魚介のうまみが凝縮したオレンジ色のスープを楽しんでいただきたい。

春に最盛期を迎えるヒラスズキ。磯で成長する為、荒波で引き締まったコリコリの歯ごたえは一度食べたら忘れられないとお客様から再リクエストが多いカルパッチョです。

夏にはイトヒキアジやタカノハダイ。コショウダイ。どれも水族館でも人気なほどビジュアル系のお魚です。手ごろなサイズをまるごとオーブン香草焼きにして2~3人でつつくには最高です。コショウダイのカルパッチョは真鯛とイサキの長所を合わせたような歯ごたえも旨みもしっかりの夏のご馳走です。

秋はオキナヒメジ。その魚体をオーブンで焼くと、独特の香味が生まれます。「海老の風味がするんだよ」と表現されたお客様が印象的です。また、この季節には手ごろなサイズに成長した子アジをエスカベッシュにするのも楽しみのひとつ。

冬に入荷してくるニザダイ・イシダイ・イシガキダイもファンの多い魚です。イシダイとイシガキダイは 塩・オリーブオイル・オレガノを振り、おなかに野菜を詰めて、じっくりとオーブン焼きにします。ニザダイ(サンノジ)はカルパッチョに。磯の香りと引き締まった身は、歯ごたえ、旨み、香り、すべて堪能できる美味です。

これらは直送で届く天然魚のほんの一例にすぎません。そして、天然魚ですから毎回魚種が変わります。野島氏が選ぶ魚は、市場評価が低いニザダイやタカノハダイなど、普通は食べないとされる魚も含まれますが、季節と目利き、素早い処理によって、それらの魚も美味しくいただくことができるのです。

普段、東京ではお目にかかることのないユニークな魚たちが多いため、お手頃なサイズはそのまま、まるごと一匹を香草オーブン焼きやカタプラーナにして楽しんでいただけます。お客様の中には入荷した魚の種類を聞いて電話で魚を聞いてキープする方もいらっしゃいます。どうぞお気軽にご相談、お申し付け下さい。